『帰ってからおなかがすいてもいいようにと思ったのだ』 高山なおみ著

2014年01月14日

何度も買っているのに、やっぱり今も手元にはない本があります。その本に出合ったのは、その頃働いていたパン屋がある街の駅の本屋さん。なんとなく手にとって、あとがきを開くと、クラムボンの原田郁子さんが自分のこと、著者である高山さんとのエピソードをつづっていました。一緒に働いていた友だちが東京に出るとき、すごくいいから、と本をわたして。そのあと、誕生日プレゼントに、と何度も買っては、あの子やあの子にもわたしました。
何度も読み返したのは、J君という男の子が夜ねむれなくて、頭の中のイメージを絵で描いて、ひたすら描いて、ようやくすっきりとして。あぁ、自分はこれでいいんだな、と思って、ぐっすりねむることができたと話している場面。
曖昧なものの確かさとか、揺らいでいるもの、不安定なものとの自然さとか。空気や、色や、においを通して感じるもの、理由なんてあやふやなことたちを、ちゃんと信じてやればいいのだ、と教えてくれた本です。(W)

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