書店にドキドキ感マーケティング「文庫X」。
2016年10月11日
あなたは、ちまたで今話題の「文庫X」という文庫本を知っていますか。
それはある地方の書店が企画したもので、売り場に平積みされている810円の文庫本なのですが、本のタイトル・本文ページを完全に隠したカバーがしてあり、カバーには書店員が推薦と書かれているだけ。中身がまったくわからない文庫本で「文庫X」として売られています。そしてそれがなぜかけっこう売れているらしいのです。中身がわからないのに。810円がむだになってしまうかもしれないのに。
お客さんは「きっとこの書店がすすめるのだから、いい本がはいっているに違いない」と信じて、昔の駄菓子屋さんにあった当て物や宝探しのようなちょっとしたドキドキ感を楽しんで買っていくとか。正月の福袋も買ったことがない自分にはまったく理解できない感覚ですが。
昨今、書店業界もアマゾンなどのネット通販に押されて、書店で本がますます売れない時代。探している本が明確であればアマゾンの方が早くて便利ですし、書店には在庫がないことも多々あります。ただ、休日にショッピングセンターの書店内をブラブラしていて、本の帯に書かれたおすすめ文に刺激されて良本に出会ったりすることもあります。また、探していた本の隣にさらにおもしろい本を見つけたりすることもあります。そんなときはちょっとラッキーな気分になるのも事実です。
この「文庫X」をはじめ、本とのいろいろな出会い方を演出・開発するアイデアがあれば、本屋さんもまだまだ生き延びる道があるのかも知れない。どうしたら買ってもらえるのか、顧客はなにを求めているのかを追求しつづける意欲あればこそですね。(Ko)